鬱になりかけ未経験からITエンジニアになって1年、とても幸せを感じている
2019/05/18
23歳で未経験からエンジニアになって1年がたちました
1年足らずで新卒の会社をやめ、僕はITエンジニアになりました。それがもう1年以上も前の話。
時が経つのは早いものです。とはいえ、この1年は自分にとってとても充実した時間でした。
やりたくもない仕事でパワハラ上司にイビられ、精神を病むすんでのところで転職し、エンジニアになった自分の過去と現在の話をしてみたいと思います。
給料がいい=幸せが成り立たないことを知った若僧
ITとは全く関係のない、国がお客さんのお堅い大企業に新卒で入った若者は、1年も持たずにその会社を去ることになりました。その会社にも悪いところがあったとはいえ、一番の問題は自分がやりたいとか、好きだと思えないことを仕事にしようとした事だったと思います。
新卒で入ったその会社は、そこそこの大企業でした。今思えばいい給料をもらっていたんだなぁと実感します。なんせ、今と比べると年収ベースで100万円は軽く違うんですから。
今の会社ではボーナスというものがほぼありません。それに比べると前職では年3回のボーナスがあり、1年目の若僧でも一回に4,50万貰ってたんですから信じられません。
もちろん、それ以上の会社もあるでしょうが、一般的に見れば十分に高給の部類に入ってたんではないかと思います。僕の友人の例をあげると(勝手に申し訳ない)ボーナスは1回10万円代とのことなので、それくらいの会社もザラだと言うことは想像に難くありません。
そんな風に若手の分際で申し分ないほどの給料をもらっていた自分は、世間で言うところの「幸せ者」のはずでした。
だったのですが、結果的にはたった数ヶ月でこの会社をやめるところまで精神的に追い詰められてしまうのでした。今思うと、「お金があれば幸せ」というのは、「精神的に健康であれば...」という前置きをつけるべきだと思いますね。
パワハラ上司の洗礼をモロに受けてしまう、愚かな若者
なぜ精神的に参ってしまったのか。
結論から言うと、直属の上司がパワハラで有名な変わり者だったからです。
僕はもともとどちらかと言うと楽観主義者なところがあり、つまりは能天気なヤツだったのです。なので、どちらかというと人の言うことに一々気落ちしたりすることはないし、失敗しても割とすぐに立ち直れる(忘れる)性格でした。
そんな一見、精神的な病とは縁のない(少なくとも自分ではそう思っていた)人間でも、日々のパワハラ上司の言動にさらされるとおかしくなって行くものなんですね。
本当にやばいなと思ったのは、特に意味もなく涙が出てくるようになった時でした。会社のデスクでパソコンに向かってWordで文章を編集していると、ふと涙が出てくるんです。
「あ、これは本当にやばいところまできてしまっているのかも知れない。」
冷静に、そう思いました。
実際、あと一歩のところまで来ていたんだと思います。本当に、危ないところでした。
あと半年我慢していたら、確実に取り返しのつかないところまで行っていたと思います。勇気を出して行動した自分を褒めてやりたい、そう思います。
レールを外れて生きていくことを、自ら決める
行動とは僕の場合、転職。仕事を変えることでした。
それも同業種ではなく、IT業界という全く関係のない世界への転職でした。
せっかく新卒で入った大企業をやめ、未経験でエンジニアになる。それは今まで順調に走って来たレールを降り、不安定な砂利道を徒歩で行くようなものです。
現代の競争社会で言えば、エリート街道とは真反対の、負け組街道といったところでしょうか。ですが、精神が病みかかっていた自分にはもうそんなことはどうでも良かったのです。
「いっそ道を外れるなら、どう外れたって同じ。」
大事なのは、自分で決めること。自分で決断したことなら、納得がいく。
人から強制されることには反発するし、それで人生が狂ったのなら恨みを持つでしょう。でも、自分で決めて狂わすのなら、それは全部自分の責任だと思えるし、納得できる。
その結果つらい経験をすることになっても、自分で決めたことだと思えれば全く違った見え方になるものです。
まあ今だからそんなことが言えるんですが、その時は悩みに悩みました。
せっかくいい会社に入れたんだから、せめて1年は頑張ってみよう。そうすれば仕事もできるようになって、今辛いことがなんでも無くなるのかも知れない。そう思って耐えながらも、はやく辞めたいという気持ちは誤魔化せるものではなく、とても辛い日々でした。
おそらく、あの時の僕のように、先の見えない不安な、苦痛な日々を送っている人はたくさんいると思います。
でもこういう悩みって、そう簡単に人に話せることではないですよね。自分もそうでした。こういうブログのような、匿名性のある場があるからこそ吐き出せる悩みです。
いろんなものを捨てて、興味のあることをゼロから初めてみた
最終的に僕は会社をやめ、未経験でベンチャー企業に転職することに決めました。
それまで散々悩んできたこととは裏腹に、とても清々しい気分で転職したような気がします。
新卒での就職と、一体なにが違ったのか。それは、今風にいうと「好きなこと」を仕事にしたことでした。
情報系で学んだわけでも、趣味でやっていたわけでもなかったのですが、大学の授業で少し触れたことがあったプログラミングがとても面白く感じたことを思い出したのです。
今から振り返ると、これは大成功でした。間違いなく、転職してエンジニアになって良かったと感じています。
「好きなことを仕事にするなんて考えは甘い。」
基本的にはこう考えられていますが、ほんとうに自分が興味の持てる、本当の意味で「合っている」仕事は、何時間やっていてもしんどくありません。
こんな風にいうと社畜感が出てしまいますが、でも実際に僕の場合、1日中ご飯も食べずにプログラミングしていたって苦には感じないのです。この前なんて土日の間、ほとんど休む事もなく10時間ほどぶっ通しでプログラミングしていました。(もちろん趣味で笑)
それでも、しんどくならないのです。正直、自分がいちばん驚いています。
「こんなに苦にならない仕事があったなんて」とびっくりしました。
誤解のないように書いておくと、"しんどく"はなくても、もちろん"疲れ"はします。仕事終わりはそれなりに疲れて帰宅します。それでも、全然しんどくはならない、精神的な疲れがないというような感じです。
一言でいうと、とても楽なんです。
興味が全く持てない、前職では考えられなかった事でした。前の会社では仕事は単純に辛くてしんどいものだったし、はやく帰りたいとしか思っていませんでした。
「自分に合っている仕事って、こういう事だったのか。」
と、目からウロコが落ちるような体験でした。それと同時に、なんとも言えないような幸福感を感じるようになりました。
苦しいことに耐えきれなくなったら、プライドを捨ててにげよう
苦しいことを耐え抜けばそれだけ人として成長でき、辛かったことも笑えるようになる。
これは正しい考え方です。でも、すべての人にとって正しいものなんて、あるはずないんじゃない?と僕は思います。
鬱になりそうなくらい精神的に追いつめられている人に、「耐え抜けばいいことが待っているよ」なんていうのは残酷じゃないでしょうかね。当時の自分を想像すると、そう思います。
なぜかというと「その辛い状況から、逃げるなよ」と言っているに等しいからです。
辛いことから逃げる事は甘えであり、恥である。大人になりきれていない子供。ほんとうにそうでしょうか?
自分の場合は確かに子供でした。給料がいいからという、そこはかとなく浅はかな考えで会社を決めてしまっていましたから。何にも考えていない、愚かな若者でした。
でも、そんな甘えたやつばかりが精神的に参って、苦しんでいるわけじゃないでしょう。
志があって、やる気もある優秀な人が、自尊心の塊で威張り散らしているしょうもない大人(精神的な子供)の餌食になって、病んでしまうこともあります。
だから、そういう「幸せになるべき人」には、逃げてもいいんだよと言いたい。
にげることで人生がプラスの方向へ動きだすことだってある
にげることは、マイナスなことというイメージがあるけど、逆にプラスに働くこともあるんだと身をもって知った。
給料がガクッと下がったのに、毎日とても幸せな気持ちで過ごせていることがその証拠だと思っています。
僕は、辛い会社からにげることで、ほんとうに好きな仕事と出会うことができました。
このことは一生の宝物だと思っています。
変な話ですが、当時のパワハラ上司にはある意味感謝している面もあるんです。自分の人生を真剣に考えてこなかった愚かな自分に、真剣に人生を考え直すきっかけを与えてくれたからです。
あの死ぬほど辛い日々があったから、真剣に考えざるを得なくなったのです。仕事とは何か、自分は本当はどんなことがやりたかったのか。
そして、「辛いことから逃げる」という勇気ある行動を起こしたことで、人生が好転しだしました。毎日の仕事が苦じゃなくなりました。
1年前は考えられなかったことです。
最後に、レールを外れて1年経った僕が気づいたことを、共有しておきたいと思います。IT業界の内情も踏まえ。
- 精神的にやばいと感じたら、逃げる準備をしないと半年後にはほんとうに鬱になる可能性が高い。
- 一旦吹っ切れてやりたいことを仕事にしてみると、恐ろしく楽で幸せになれる可能性がある。
- 辛い仕事を耐え続ければ、楽になる訳ではない。自分に合った仕事であれば、初めっから楽。
- 自分に合った仕事は、ほんとうに何時間やっていても苦ではない。社畜になって慣れるのとは全く別。
- ITはブラックと覚悟して入ったが、前職の大企業よりホワイトでびびった。つまり会社による。
- IT業界には道を外れてきた人ばっかり。それもできる人が結構多い。
- エンジニアなら道を外れても、技術次第でいくらでも稼げる。
あと少しで、入社式です。
あの頃の僕のように、何も考えずに就職する若者たちはきっとどこかで悩むことになるでしょう。
その時は、チャンスだと思ってほしいと思います。無理だと思うけど、自分の人生を真剣に考え直すチャンスなんです。
そして、どうしても辛すぎたら、もう気にせずやめてしまえばいい。そして本当に自分がやりたかったことを、勇気をだしてやってみればいい。そう思います。